欧州 ガソリン車の販売禁止を2025年で提案 トラックは2027年まで

欧州は、2035年にガソリン車の販売を禁止することで合意。2035年以降はEVのみに限定すると発表したのが10月27日のことでした。

それから2週間もたたない11月10日、欧州委員会は販売禁止の年度を10年早めの2025年に変更する法案を提出しました。ロシアへの経済制裁から、脱炭素の遅れをとっていることと、化石燃料を介したロシアの呪縛から早めに逃れるためでしょうか。

欧州がガソリン車廃止を前倒しにする理由と、実際のところ可能性としてどうなのか、現時点での情報を調べてみました。

欧州はガソリン車の販売禁止の前倒しを提案

11月10日、欧州委員会はガソリン車の販売禁止を前倒しする法案「ユーロ7」を提出しました。

新しい法案によると、これまで2035年に制定されていたガソリン車の販売禁止を10年早めた2025年に引き上げる方針です。一般乗用車が対象となり、トラックは2年遅れの2027年としています。

いずれの場合も新車が対象で、プラグインやハイブリッド車も販売禁止に含まれることになっています。

出典:EU Proposes tighter rules for combustion engine cars – DW

欧州では、ここ2,3年でEVの販売数が伸びていることもあり、早期での規制がEVの購入を促進する効果があると見ているようです。

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排ガス規制の「ユーロ 7」とは

今回、欧州委員会が提出した「ユーロ 7」とは、自動車の排ガス規制をまとめたものです。

従来のEU排ガス規制は、乗用車(小型バンも含む)は「ユーロ6」、トラックなどの大型車は「ユーロVI」で分けられていました。新しい「ユーロ7」ではより厳しい規制となって1つにまとめられることになっています。

出典:EU ガソリン新車販売禁止 35年まで – 日経新聞

11月27に合意されたばかりの「ユーロ6」の規制は、ディーゼルやガソリン車など内燃機関を有する新車の販売を2035年で禁止としていました。

原則として、完全にゼロエミッションが実現できる100%電池あるいは水素電池のEVのみが許可されるかたちになり、他国に比べるとかなり厳しいのが特徴です。

出典:欧州委、新排ガス規制を提案 – REUTERS

新たに改案された「ユーロ7」によると、乗用車は2025年が禁止年度で排出基準は現行のまま、トラックは排出限度が引き下げられて禁止年度が2027年です。

排ガス中の窒素酸化物にも規制が入り、微粒子状物質(ブレーキやタイヤの摩耗で飛散するマイクロプラスチック)にも基準が設定されています。排ガス監視システムの搭載を義務づけるなど細かい規制が追加されています。

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規制の前倒しの理由

欧州委員会の調査では、自動車の排気ガスによって死期を早めている人は年間7万人に上り、従来の規制では十分な脱炭素化がはかれないとの判断です。

車の保有年数が年々長くなっていることから、2050年の時点でも5台に1台はガソリン車が残るだろうとの予想です。

ゼロエミッション以外の新車販売を早期で禁止する必要があると、欧州理事会と欧州議会にて「ユーロ7」の審議を急ぐ予定でいます。

自動車メーカーの反応

「ユーロ7」の規制導入にあたって、消費者がEVを新車で購入する際のコスト差は、乗用車の場合で概ね1%程度におさまるだろうとの見方。金額にすると120ユーロ~150ユーロ(2万円前後)ぐらいです。

ただ、タンクローリーやバス大型車に関しては2~3%の差額、2,700ユーロ(35万円程度)となり小さいとはいえません。

欧州自動車工業会(ACEA)のコメントによると、「ユーロ7」は車両コストが増大する割には、環境面への貢献は限定的だとしています。

新規制によって増加するコストは、1台につき500ユーロ以上となる可能性があり、「説得力に欠ける提案で、受け入れがたい」との評価です。むしろコスト上昇の面で、ゼロエミッション輸送を遅延させる恐れがある点を指摘しています。

ちなみに、世界の大手自動車メーカーの多くはガソリン新車販売停止に向けて舵をとっており、2030~2035年あたりでの100%EV化を表明しています。

大手欧州自動車メーカーの100%EV化の予定

  • VW(フォルクスワーゲン) → 2035年
  • Mercedes Benz(メルセデス・ベンツ) → 2030年
  • Audi(アウディ) → 2026年
  • FIAT(フィアット) → 2030年
  • Alfa Romeo(アルファロメオ) → 2027年
  • Ford(フォード) → 2030年(欧州向けのみ)
  • GM(ジェネラル・モーターズ) → 2035年(車種限定)
  • Lexus(レクサス) → 2035年
  • BENTLEY(ベントレー) → 2030年

「ユーロ7」が法案として可決されるためには、EU加盟国の合意が必要です。「ユーロ7」が導入されるかどうか、2023年の注目トピックとなりそうです。

まとめ

地球温暖化、気候変動への対策として、2050年には地球の気温上昇率を2.0%以下にとどめることが「パリ協定」のゴールです。相次ぐ水害・災害によって、脱炭素は緊急を要する世界問題であることを、誰もが認識し始めています。

いずれは、ガソリン車からEVへ移行が予定されながらも、いまだにガソリン車を製造するのは意味がないかもしれません。すでに地球上には、乗車しきれないほどのガソリン車が中古・新車とあふれかえっています

確かに「ユーロ7」は、細かい規制がありすぎるのは否めませんが、必ずしも「環境への貢献度が低い」とは言い切れない部分もあります。

早期にガソリン車の販売禁止を実施することで、すでに製造済みの莫大な量のガソリン車の消費につなげることができるのではないでしょうか。

ガソリン新車の販売禁止を早めるかわりに、その他の細かい規制を緩和するなどすれば「ユーロ7」の意義が深まりそうですね。

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