なぜ原油価格が高騰しているのか?OPECプラス・サウジアラビアが増産しない理由と今後の可能性

インフレーションの話題がつきない中、国内のガソリン代の値上げも際立ってきました。

2022年に入ってからガソリンレギュラーの平均価格は160円台で推移。6月13日は167円です。地域によっては185円の高値をつけるケースもあり、すべては原油価格の高騰からきています。

原油価格は2021年10月、7年ぶりに80ドルを記録して以来、2022年2月にはとうとう100ドルを突破。現在は115ドル~120ドルあたりを推移しています。

原油価格は今まさに、130ドルに近づきそうな気配さえ見せていて、OPECプラスが増産を控えていることが高騰の原因だといわれています。では、なぜOPECプラスは原油の増産を控えているのでしょうか。なぜ、増産しないのでしょうか。

今回は、原油高騰の要因といわれるOPECプラスが増産しない理由や、今後の増産の可能性について検証していきます。

原油価格とガソリン価格の高騰

エネルギー自給率がほぼゼロ%に近い国内では、エネルギー価格の高騰による打撃をダイレクトに受けてしまう傾向にあります。

2022年6月時点での原油価格は115ドル~120ドルあたりで推移。

WTI原油価格

出典:tradingview.com/symbols/USOIL/

3月には130ドルの高値に触れた局面もありました。ここ数か月の原油価格に関しては、このまま150ドル台に向かっても不思議ではない勢いがみられています。

原油高が一番に反映されるのはガソリンです。

国内のガソリンレギュラーの平均価格は6月時点で167円/1L。1年前のガソリン価格は152円で10円以上値上がりしたことになります。2020年は122円~127円で1Lのガソリンが買えていたことを思うと、かなり早い速度でインフレが進んでいることがわかります。

国内のガソリン平均価格(レギュラー)

出典:https://e-nenpi.com/gs/price

大分県、長野県、長崎県など地域によっては、180円~185円の価格をつけているケースもあるようです。

米国、欧州、英国の深刻なエネルギー高

さらに、日本よりもエネルギー高騰が深刻なのが米国、欧州、英国です。米国では6月11日に初めて「1ガロン=5ドル台」を記録しており、そのショックからNYダウは連日の大幅下落、一時は1,000ドル以上の下がる場面もあったほどです。

米国のガソリンスタンド価格表

6月のUS レギュラーガソリン価格 → 5.09ドル~5.19ドル/5ガロン

※1ガロン = 4.5L

米国のガソリン価格の推移(1Lあたり)

出典:https://jp.tradingeconomics.com/

1リットルあたりの価格でみると、5月のガソリン価格が1.17ドル(130円程度)で日本よりは安いものの、値上がり率でみれば米国ではかなり痛手となっているようです。

欧州では1Lあたりのガソリン価格が2.36ユーロ(300円程度)で、日本のガソリンの約3倍、米国の2倍に高騰しています。英国ではガソリンを満タンにしただけで100ポンド(約1万7,000円!)もかかるまで高騰しています。

このまま原油高が続くとすれば、ガソリンの価格も合わせて今以上の上昇が見込まれています。日本をはじめ各国では深刻な消費力の低下が危惧されています。さらには消費力の低下から引き起こされる、スタグフレーション・リセッションの到来が懸念されている状態です。

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ここまで原油価格が高騰した理由

投資家レヴィ
投資家レヴィ

でも、どうしてここまで原油が高騰してしまったの?

エネルギーLAB
エネルギーLAB

原油が高騰した理由には様々な要因が考えられます。まずは原油価格がどのようにして決まるのかを見ていきましょう。

原油価格が決まる仕組み

原油価格が決まる仕組みは実にシンプルです。

  • 需要が高くなると → 上昇
  • 需要が低くなると → 下降

自動車のガソリン、トラック・船舶・航空機などの燃料の需要が高くなると原油価格は上昇する傾向にあります。基本的に景気が良いと、個人や企業が多くの燃料を必要とするため価格が上昇しやすくなります。

反対に、景気が悪くなったりコロナなどで燃料への需要が低下すると原油価格は下降する傾向にあるのです。

原油は最も景気に敏感な商品だといわれていて、景気を図る指標として使われることもあります。

原油価格をもう1つ左右するのが原油の供給量です。

  • 供給量が増えると → 下降
  • 供給量が減少すると → 上昇

需要が高かったとしても、原油の供給量が増えすぎてしまうと原油価格が下降する要因となります。反対に供給量が少なくなると原油価格が上昇する要因となります。

需要と供給のバランス

最終的に原油価格を決めるのは、需要と供給のバランスです。

  • 需要よりも供給量が多い = 原油価格は下降
  • 需要よりも供給量が少ない = 原油価格は上昇

需要と供給のバランスがほどよくとれている時は、原油価格は安くもなく高くもない値幅で、ほどよく緩慢に動いていきます。

どちらかのバランスがくずれると、激しく価格が急下降したり、急激に高騰したりします。

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供給が減少しすぎると価格が高騰

現在の状況がまさに「需要よりも供給量が少ない状況」です。供給量が必要とされる量に満たないため、原油価格は高騰を続けているのです。

2021年後半以降は、多くの国々がコロナから回復を見せ始め、ロックダウンを解除してビジネスを再開しています。原油への需要が高まっているにもかかわらず、原油の供給量がコロナ時代からあまり増加していないことが大きな原因となっています。

投資家レヴィ
投資家レヴィ

それなら簡単じゃない?原油の供給量を増やせば原油価格が下がってくるよね。

エネルギーLAB
エネルギーLAB

ところが、そう簡単にはいかないのです。なぜなら、今回の原油価格の高騰には、原油産出国・OPECプラスの実に複雑な事情が絡み合っているのです。

これから、原油高騰の理由を見ていくにあたって、簡単にOPECプラスとは何なのか確認しておきましょう。

原油産出国 OPECプラスとは

OPECプラスとは、

おもに、サウジアラビア・中東などの原油産出国で構成された機関です。需要に見合った原油供給と価格の安定性を維持することを目的としています。

もともとはOPEC(石油輸出国機構)とNon-OPEC(非石油輸出国機構)とに分かれていたのですが、2016年に原油価格が暴落したことによって、原油価格を調整するために統一されました。

原油産出国マップ by 産出量

出典:https://www.mapsofworld.com/

OPEC加盟国

サウジアラビア、イラン、イラク、クウェート、ベネズエラ、アラブ、アルジェリア、アンゴラ、リビア、コンゴ共和国などの13か国

新たにOPECプラスに加盟した元Non‐OPEC

ロシア、メキシコ、オマーン、アゼルバイジャン、カザフスタンなどの10か国

今回の原油価格高騰で、唯一解決の糸口と見なされているのがOPECプラスのリーダー・サウジアラビアの増産です。米国をはじめ、欧州、英国、日本、原油価格の高騰を懸念する多くの国々がサウジアラビアの増産を要請しています。

しかし、OPECプラス・サウジアラビアは頑として、大幅な増産を見送り続けているのです。

エネルギーLAB
エネルギーLAB

とうとう、インフレ大統領とひそかに呼ばれているバイデン大統領は6月末にサウジ訪問を決意。本腰を入れて増産への交渉に踏み出すことになりました。

なぜOPECプラス・サウジアラビアは増産しないのか?

なぜOPECプラス・サウジアラビアは増産を見送り続けているのでしょうか。なぜ簡単に同意しないのでしょうか。

サウジアラビアが増産を控えている背景には・・・

聞くも涙、語るも涙というわけではありませんが、実は数々の入り組んだドラマが存在しているのです、では数々の入り組んだドラマを1つずつひも解いていきましょう。

1.マイナス価格に陥ったトラウマがある?

まず1番の理由として考えられるのが、かつてコロナショックの時に原油価格がマイナスに落ち込んだ経歴が、OPECプラスにとってトラウマになっているということです。

2020年4月 WTI原油先物はマイナス価格をつけた!

2020年4月20日、コロナウイルスの感染拡大が認識され始めた頃の出来事です。感染防止策としてロックダウンを発表する国が相次ぎ、3月以降は20ドル台で推移していました。

需要は激減、在庫は積もるばかりで保管スペースの確保が困難になっていたとのこと。原油の保管先が確保できないかもしれず、買い手を探すのはほぼ不可能と判断した投資家・ヘッジファンドからの投げ売りが集中したのです。

ちょうどこの日は、WTI原油先物5月ものが期限を迎える日でもありました。朝から売りが集中し午後にピークを迎えた時にはスプレッドは異常に拡大、急スピードで下に突き抜ける価格に取引システムを停止する取引所もあったそうです。

出典:https://www.cnbc.com/2020/04/20/

最終的にWTIは-40ドルに触れた後で-37.63ドルで終了しました。

この状況が想像できますか?本来なら売るべき商品を引き渡すのに、お金を払わなくてはならないのです。原油を売るというよりは、保管場所に引き取ってもらうようなイメージです。まるで悪夢のような話です。

価格が落ち込むことは原油だけに限らず、あらゆる金融商品に起こります。しかし、上場する金融商品がマイナスになることは前代未聞、歴史上はじめてのことです。

その後、OPECプラスは大幅減産で価格調整に向かったわけです。

そして、2021年~2022年現在にかけて原油の需要は元のレベルに回復しつつあるのですが・・・

また価格が下がるかもしれないとの恐怖がある

バイデン大統領
バイデン大統領

そろそろ増産の時期じゃない?

サウジアラビア
サウジアラビア

いや、まだ中国とかロックダウンだし・・・時期早々かな。

ほら、うちはアップルとかテスラとかいないし?

安易に増やしてまた下がったら、ほんと困るんだよね。

従って、米国などから増産要請があっても、安易な増産は見送りたいというのがOPECプラス・サウジアラビアの本音だといえます。

もし、再び何らかの要因で価格が下がりきってしまうと、原油輸出の比重が大きいOPECプラス国には致命的なダメージとなります。恐怖に近いトラウマがOPECプラスの増産を思いとどめてしまうのです。

2.再エネ政策の進め方に憤りを感じている?

そしてもう1つ考えられる理由は、パリ協定にちなんだ近年の急速な脱炭素化です。今世界のエネルギーは石炭や原油から再エネへと移行しようとしています。

しかし、いくら原油がCO2を発生させるとはいえ、一夜でエネルギーが切り替えられるわけではありません。少なくとも大半のエネルギーを化石燃料から再エネへとシフトしていくには20年~30年はかかるといわれています。

言い換えると、20年~30年はまだ原油や石炭が必要なのです。

急速な再エネ政策と身勝手な増産要求

原油がまだまだ私たちの生活に欠かせない事実がありながら、「原油 = 悪の象徴」がごとき即利用停止を促すような米国や欧州の政策に、OPECプラスは憤りを感じているといえます。もちろん、OPECプラス・サウジアラビアも脱炭素に賛同し再エネ開発を進めています。

再エネへの移行が不満なわけではなく、その進め方に疑問を持っているのです。

出典:https://www.nikkei.com/article/

OPECプラス・サウジアラビアは、自動車やエンジンがこの世に誕生してから、長い間にわたって世界の需要に応え貢献し続けてきました。長い歴史と実績をもち世界経済を支えてきた誇りもあります。原油をいきなり全面否定する再エネ政策は、OPECプラスのプライドを踏みにじるようなものです。

例えば、これが会社なら「新人が入ってくるから、明日からもう来なくていいよ。」と長年勤めたベテランがいきなりいわれるのと同じです。

バイデン大統領の場合は、当選と同時に再エネ政策への希望に燃え、悪意はなかったにせよOPECプラスをないがしろにしてきたきらいがあります。単純に普段からのコミュニケーションが不足していたようです。

出典:https://www.nikkei.com/article
バイデン大統領
バイデン大統領

原油が足りない。もっと増産できないの?

サウジアラビア
サウジアラビア

あれ?原油には反対じゃなかったけ。

もういらないとか言ってたよね。


そこで、いざ足りなくなれば身勝手に「増産」「増産」と急かされても、納得がいかない気持ちもわかるというものです。

3.米国に利用されたくないと思っている?

さらに、OPECプラスが米国の増産要請に応えたくない理由は他にもあります。それは、米国の罠にはまってしまうかもしれないことです。

サウジアラビアは、原油では世界のトップ産出国です。しかし、かつて米国の減産要請に応えたばかりにトップの座を奪われた経験があります。

米国も世界で上位にランクインする原油生産国です。もともとは小規模生産者だったためOPECには加盟しておらず、輸入者側と輸出側との中立的な立場にありました。

ところが2010年頃からシェールオイルの開発が軌道にのり、原油生産率が急増。自身も原油輸出国として名を連ねるようになったのです。以来、双方の関係は微妙になってきています。

2017年米国がサウジアラビアを抜いてトップの座に!

2016年に、原油の供給量が増えすぎてしまい原油価格が暴落したことがあります。

この時に、Non-OPECのロシアなどの非加盟国がOPECに加わりOPECプラスが設立されました。

米国も原油暴落の影響を受けていたことから、OPECプラスに減産を要請しました。

出典:https://www.nikkei.com/article/
オバマ大統領
オバマ大統領

原油価格のためだ。一緒に減産していこう。

サウジアラビア
サウジアラビア

確かに・・・。このままだと原油は下がりきってしまう。

みんなで減産していこうか。

サウジアラビアは大幅減産に同意。当然、サウジアラビアのほうでは、米国も相応の減産を実施するものと解釈していたのですが、1年たってその解釈が間違っていたことに気づかされたのです。

2017年 原油産出ランキング

出典:https://www.statista.com/chart/

OPECプラスがやむを得ず減産を実施している間に、米国はシェールオイルを増産!2017年度の原油産出量にて米国は、これまでトップを牛耳っていたサウジアラビアを抜いて1位の座についたのでした。

トランプ大統領
トランプ大統領

オバマ君が何て言ったか知らないけど。

僕はちゃんとあいつらに減産しろって言ったんだけどな・・・

サウジアラビア
サウジアラビア

・・・・・・・・ 

 

確かに、減産調整を行ったことで原油価格は持ち直したわけですが・・・

ふたを開けてみると、サウジアラビアとしては「だまされた!」と米国への不信感が生じたようです。「もう、米国に利用されるのはいやだ」と、米国からの要請があっても慎重に対応するようになったのです。

ただ、一言付け足しておくなら、トランプ大統領はパリ協定脱退や排ガス規制の撤廃などで原油業界を支援していました。近年の大統領の中では、OPECプラスと最も良好な関係にあったといえます。

4.他国からの介入にうんざりしている?

現代では、原油なしで日常生活を送ることは不可能です。原油が不足すれば、通勤に車が使えないだけでなく、あらゆる輸送がストップします。

トイレットペーパー・石鹸・洗剤などの日用品、野菜に肉・魚、パンにお米に果物・飲み物、これまで当たり前にお店に並んでいた生活必需品が入手困難となるのです。そこから暴動・犯罪が起こり、世の中は大変なことになってしまいます。

だからこそ、原油は景気に敏感に反応するとともに、原油価格に人々は過剰に反応する傾向にあります。

出典:https://www.nikkei.com/article/
  • 価格が下がれば・・・ 米国などの原油産出国が減産要請に圧力をかける
  • 価格が上がれば・・・ 米国以外のその他多くの国々も増産要請に力を入れる

とくに、原油価格の高騰はパニックに引き起こすため、多くの国が増産要請の声を高めるのです。

OPECプラスにも事情がある

出典:https://jp.reuters.com/article/
ボリス・
ジョンソン
ボリス・ ジョンソン

いや、まじで、

原油増産してくれないとヤバいって。

サウジアラビア
サウジアラビア

でも、まだコロナ後の状況が不安定でしょ?

本当に必要だったら増産を検討するから。

(もう・・・こっちにも色々事情があるんだから、放っておいてくれない?)

OPECプラスも世界の需要を見計らいつつ、かつ各産出国の収益も考慮していかねばなりません。定期的にOPECプラス・ミーティングを開催して、毎月の供給量を調整しています。

ことあるごとに、やれ減産しろ、次は増産しろ、いや減産しろ、今度は増産しろ、と外部からの要請が多発します。大幅な減産や増産は、OPECプラスにとって命運を左右する重大な決定なのです。判断はこちらに任せてほしいというのが正直なところ。他国からの干渉にうんざりしている部分もあるのです。

5.ロシアへの経済制裁に賛同していない?

そして、ここ数か月の原油価格の高騰には、ロシアとウクライナの対立が大きく関係しています。米国・欧州、G7国などはロシア産原油の輸入禁止に踏み切りました。

出典:https://www.nikkei.com/article/

本来であれば、ロシア産原油を輸入すれば補えるものを排除しているため、必要以上の供給量が要求されているのが現状です。そうなると、OPECプラスは過剰な増産によって原油価格が下がりすぎてしまうリスクがあるのです。ここで、すでにあるロシアの在庫を無視して供給量を増やすわけにはいかないのです。

2020年 世界の原油埋蔵量トップ10

出典:https://www.statista.com/statistics/

サウジアラビアもロシアも世界トップクラスの原油産出国で、双方ともOPECプラスの主要メンバーです。ここ数年は、ロシアとサウジアラビアの2国でOPECプラスの総供給量を賄っている状態です。

仮に増産に向かうとしても、ロシアの供給量を補なうだけのキャパシティを持つ国は他にないというのがサウジアラビアの見解です。ロシアの穴埋めをするのは難しいということです。

バイデン大統領
バイデン大統領

本当に足りないんだから、増産してくれる?

サウジアラビア
サウジアラビア

足りない足りないって、国を選ぶからでしょ?

OPECプラス全体の供給量は今のペースで賄えるはずなんだけどね。

ちょっと原油の供給量に政治を持ち込まないでくれる?

こっちもリスクがあるんだよね。

あくまでも、OPECプラスは政治的な要素は全くぬきにして、原油供給量を調整していくと主張しています。つまり、すでにあるロシア産原油を含めたうえで調整していく方針でいます。

ロシアとサウジアラビアの結束力は強い

多方面からの収益が期待できる米国や欧州と違って、サウジアラビアもロシアも、原油以外にまとまった収益のあてがありません。

今後、原油重要の低下が予測されている以上、一定以上の原油価格を維持することは、OPECプラスにとって死活問題となってきます。

原油生産者という視点からみれば、サウジアラビアとロシアは、ともに原油暴落の窮地を切り抜けてきた、いわば運命共同体であって戦友のようなものです。再エネ推進における不安や痛みも分かち合ってきました。欧州や米国が思う以上にその結束力は強いのです。

6.エネルギーシフトへの準備をしている?

そして、最後に挙げておきたいサウジアラビアが増産を控える理由は、再エネ時代に向けて準備をするためです。

いずれ世界の主要エネルギーは原油・石炭・火力発電から太陽光などの再エネへとシフトされていきます。サウジアラビアは、その時にために原油に代わる方法で収益を得なければなりません。

ドバイ ソーラーパーク(サウジアラビア政府出資)

出典:https://www.arabnews.com/

太陽光発電に必要な豊富な日光など、再エネに適した地理的条件を備えているのがサウジアラビアの強みです。再エネへのエネルギーシフトで生じる原油収益の穴埋めを再エネで賄うために、地理的有利性を活かして着々と再エネプロジェクトを進めています。

再エネプロジェクトの実現のためには、多大な資金がかかり一定以上の原油価格をキープしていく必要があるのです。

サウジ・ビジョン2030「Sakaka」

出展:https://www.vision2030.gov.sa/v2030/

サウジアラビア王子アブドルアジズ・ビン・サルマンと父王のムハンマド・ビン・サルマンは2030年に原油から再エネへと主要エネルギーを移行する「Sakaka Solar Power Plant Project 」を2018年に立ち上げています。

2030年には60GW(ギガワット)の電力を再エネで賄うことを目標に、最初のプロジェクトとして300MW(メガワット)のソーラーファームを建設、このソーラーファームから削減できるCO2は年間で12万台の車の排出量に相当するとのこと。

Sakaka Solar Farm

出典:https://www.nsenergybusiness.com/

他にも400MWの風力発電では75,000件分の家庭の電気が賄えるとしています。総プロジェクトでトータル4500MWの電力を最エネで創出する計画です。

ソフトバンクが21兆円規模の太陽光発電事業

また、日本の大手通信ソフトバンクはサウジアラビア政府と共同で21兆円規模・世界最大規模の太陽光発電プロジェクトを立ち上げています。約200GWの電力が創出可能とのこと。

出典:https://www.asahi.com/articles/
バイデン大統領
バイデン大統領

そろそろ限界だよ。とにかく増産しないと次の手を考えるよ!

サウジアラビア
サウジアラビア

どうにでもしてくれ。

いつも米国やいろんな国から、あれこれ干渉されて

こっちも限界だよ。

悪者あつかいされたり、いいように使われたりする時代も終わった。

今後は、再エネで自立するから今に見てろよ。

というわけで、OPECプラス・サウジアラビアは、原油以外の収益で自立するために、だれからも干渉されない新し時代に向けて再エネプロジェクトを成功させなければなりません。

そのためにも、今後ますます不安定な需要が予想されている原油価格を暴落させるわけにはいかないのです。

エネルギーLAB
エネルギーLAB

以上みてきたような数々のドラマがあったうえで、現在の原油価格の高騰、サウジアラビアが増産を控える結果となっているのです。

ちなみに以下の記事では、あのバフェットが買い増ししているという原油関連株をご紹介しています。合わせて参考にしてください。

インフレ、リセッションに強い注目銘柄は?バフェットがエネルギー株を買い増しする理由

まとめ

原油産出国OPECプラス・サウジアラビアのつもりに積もった怒り、恨み、悲しみ、嘆きが今回の原油高騰の背景にあることがわかりました。単にサウジが増産すれば解決する、といったシンプルな話ではないのですね。

2020年4月にマイナス価格を経験した原油産出国の、生存をかけた覚悟の挑み・最後の挑みです。いずれは、原油交代・新しい時代がくることは100も承知です。だからこそ、なおさら大幅増産で急落のリスクを負うことはできないのです。

サウジアラビアもロシアも、多方面にわたって経済が安定している日本や米国・欧州とは状況が異なります。原油の収益を失えば、国の生存自体が危機に陥ります。

再エネ時代への過度期である今のうちに、まずは原油で稼げるうちに稼ぐことが第一。そして再エネ時代に向けての準備を進めていく必要性に迫られているわけです。

余談ですが、再エネの時代になっても結局のところトップ・プレーヤーは中東やロシアなどの原油生産国となり状況はたいして変わらないといえます。これはまた別の記事で・・・・

今後の展開としては、しばらくはいかなる要請や圧力にもOPECプラスは動じない、多少は協調する姿勢を見せても極端な増産は見合わせる可能性が高いでしょう。加速のスピードは落ちるかもしれませんが、やはり原油価格の高騰はもう少し続くようですね。

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